平均律の必要性 |
orig: 2001/03/09
自然倍音がきれいなハーモニイを出すのに何故平均律なんて要るのか? 簡単な説明を試みてみよう。ここに、取りあえずハ長調がきれいに出るように調整されたピアノがあるとしよう。あちこちで述べているが、このピアノのF音とA音の周波数比を考えてみよう。
F音はC音の2/3の周波数だ。これは基準としたC音の完全5度下の音だから、オクターブ上げておくと4/3ということになる。A音はC音の27/8の周波数だ。これは欲しい音域より1オクターブ上にあるから、周波数を2で割ってオクターブ下げておく。即ち27/16だ。さて、この A:F = (27/16):(4/3)だから、81:64ということになる。
何故AとFを比べたかというと、これらがへ長調のミとドに相当するからだ。ミとドは5:4という単純な整数比で与えられた場合に良くハモル。5:4 とは 両項を16倍してみると 80:64 ということと同じことだ。そう、ミ:ド として 80:64 が欲しいのに A:F は 81:64 に設定されている。
つまり、ハ長調で調整されたピアノはヘ長調では奇麗に響かないのだ。ましてや、#やフラットがワサワサ付いた調子ではアチコチの相対音程がめちゃくちゃになるのだ。という訳で、妥協の産物として何調でも、まぁまぁな音程が出るように考えられたのが平均律だ。その数学的意味、定義は下記「平均律の話」へどうぞ。