隼人に関する情報集・その4
ソバカリと刺ヒレの間
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その3:隼人リンク
orig: 2000/12/03
一次資料に掲げたように日本書紀と古事記の履中天皇の段に隼人が騙されてその主人を殺してしまう話がある。念のため下部に再掲しておく(その1、より)

登場人物である隼人の「刺領布」(さしひれ)(紀)と「曾婆訶理」(そばかり)(記)という名前について考えてみる。即ち、同じ立場(仲皇子に仕えている)にあって同様に騙されて主君を殺して、ついで自分も殺される、のだからこの二の名前の持ち主は同一人物、と考えて良いだろう。しからば、この異なった二つの名前の間に何か関連がないのだろうか、という視点である。

ヒントをアイヌ語に求めるのは隼人の言語が先住民の言語であり、恐らく縄文語に近いものであろう、そして、アイヌ語は縄文語の後裔言語らしい、からである。

sas = 昆布 に対して、「曾婆」は「蕎麦」であろうか、と思い、長らく棚上げにしていたが、知里真志保の「分類アイヌ語辞典・植物編」に海草の一つとして日本語で「すじめ」というものが sopa-us と言われることを見つけた。 この名義の原義は so-pa-us で「座・頭・にある」で「一番うまいからそういうのだと。」とある。

即ち、「刺」=sas=昆布、「曾婆」=sopa (us)=海草の一種、としてつながりそうになってきた。

しからば後半の「領布」と「訶理」の関連付けだが、これはまだ出来ていない。現状は「訶理」を kar-i(採る・人)と解いて、「海草の一種(すじめ)・を採る・人」がありそうだ。

しかし「ひれ」が難しい。「拾ふ」(ひりふ)あたりにつながるのだろうか。参照:万葉集18-4038 :「・・・多麻母比利波牟」(玉藻拾りはむ)(玉藻を拾おう)


日本書紀(履中天皇紀) 仲皇子には「刺領布(さしひれ)」という隼人の近習がいて仕えていた。彼は政争の際だまされて殺された。古事記では「ソバカリ」と言う名前で同様の話が伝わっている。(下記)
履中天皇記(古事記) 欺所近習墨江中王之隼人。名曾婆加理云。若汝從吾言者。吾爲天皇。汝作大臣。治天下那何。曾婆訶理答白隨命。爾多祿給其隼人曰。然者殺汝王也。於是曾婆訶理竊伺己王入厠。以矛刺而殺也。故率曾婆訶理上幸於倭之時。到大坂山口。以爲。曾婆訶理爲吾雖有大功。既殺己君是不義。然不賽其功。可謂無信。既行其信。還惶其情。故雖報其功。滅其正身。是以詔曾婆訶理。今日留此間而。先給大臣位。明日上幸。留其山口。即造假宮。忽爲豐樂。乃於其隼人賜大臣位百官令拜。隼人歡喜。以爲遂志。爾詔其隼人。今日與大臣飮同盞酒。共飮之時。隱面大銃。盛其進酒。於是王子先飮。隼人後飮。故其隼人飮時。大鋺覆面。爾取出置席下之剣、斬其隼人頚。

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