高句麗地名から高句麗語を抽出
方法の追試 1:巻35をどう読むか:兎山郡の例
orig: 2004/06/14
latest:2004/07/05

一例を挙げる。巻35の整理番号48である。

「兎山郡はもと高句麗の烏斯含達県で、景徳王は(兎山)と改名して、今(『三国史記』が作られたとき、西暦1145)もそのまま呼んでいる」

この文章から、「兎」が「烏斯含」に対応し、「山」と「達」、「郡」と「県」が対応していると読みとるのだ。

高句麗地名新羅地名
烏斯含
うしろから注釈すると「郡」と「県」は行政単位の呼称であり、どういう音で読まれたかは別として、漢字の意味で理解して対応を認めればよい。次に、「達」の音は tar で、その音は高句麗語で「山」のことを意味することが既知だったのであろう。高句麗地名の「達」を新羅流で「山」と翻訳している例は他にもある。

かくして「兎」と「烏斯含」が残り、対応するのではないか、と考えられるのだ。新羅の景徳王の時代に旧来の高句麗地名を新羅語化する際に「烏斯含」の字を見て「兎」を宛てた。そこで、今、我々は高句麗語の「烏斯含」という音が「兎」の意味に当たる、と推定するわけだ。「烏斯含」の音は usiγam とか osakam あたりに推定される。ウサギという音に何と近いことか。ということで、高句麗地名の「烏斯含」は「兎」の意味であり、日本語の「ウサギ」と同源ではなかろうか、ということになる。

これが高句麗地名研究家の恐らく定説であるが、私なりに可能性を追求した結果の異論(これも可能性がある一つの仮説)を提示した。兎・疑


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