これらは縄文語起源か?
ver: 2000/7/1
add: 2000/10/14
rev: 2001/08/09
add: 2001/12/27

日本語とアイヌ語の語彙に音も語義も共通する・類似するものがあります。中には単なる借用語もありそうですが、幾つかは縄文語に溯るのではないか、と思われるものがあります。

この判定(借用なのか、同源に溯れるか)から恣意性を排除するのはなかなか難しそうです。最終的には音韻法則が成り立つか否かが大きな決め手になるでしょうが、今は、そうかもしれないぞ、というものを集めている段階です。

主観を排除しきれませんが、新しそうなもの(例:カッタロ=勝つ、マケタロ=負ける)は借用であろう、地名・人名に使われているもの、ユーカラに良く出てくるもの、方言、なんかは候補じゃなかろうか、という訳です。

少しずつ足してゆくつもりです。

アイヌ語アイヌ語の意味日本語備考出典:コメントなど
atu吐くオタク、エタクなど方言村山七郎、研究、p68。記紀には「タグリ」とある高倉下・手栗彦・天香具山
inotu死霊の霊魂村山七郎、研究、p91
iw<*tiw?チゥ琉球で「人」ヤマトンチゥなどiwan-iw 6人、など。樺太方言の複数語尾-sin, -cin も要研究
kamuyアイヌ語辞典にはkami(y)asiという語彙もある(意味は:化け物、魔物)
ki茅=チキ、もそうか?茅渟・考。kisarも同じ。象潟、木更津など?また「耳(kisa)」地名もこれの場合もあるか。
ki+rasi両方とも虱キラザ、キラジ、キラズ方言村山、研究、p113。また大隅風土記に「キサシム」。和名抄に「キササ」参照・隼人
kunne<kur-ne黒い、暗い、夜黒、暗い、雲服部四郎は朝鮮語も含めて三言語共通の源から発生したか、と見る
kus通る越すクサに変じてもいる下記 kus-pa を介して kus とkusaに混用があるのだろうか。
kusa舟で渡すクサ*記紀の日下の類?地名:日下、日下部、草津など。「樟葉」(崇神紀埴安彦の乱)は kusa の複数形 kus-pa (文献にはないが *kusa-pa?)の可能性が高い。
kusuriくすり借用?
marapto, maratto客、宴会まろうど、客人アイヌ習俗:熊の頭を客人とする。参考:アラハバキ
more鎮まる森、杜ユーカラに、a-more mosir 我が静かにしていた国、あり
nomi祈るのみ(叩頭)垂仁紀ほか書紀に8例
nonno花、よいもの、神仏方言、幼児語nonno-itak=祈る
num実・粒瓊?ヌナカハのヌはここへ遡るか? 目玉=sik-num
nusa祭壇ぬさ・幣参考:イササワケ
nutap沼、湿地ぬた、にた出雲風土記「仁多」郡など酒肴のヌタもこれか?
pe〜つ(何個)へ(一重、二重などの重)sine-p 一つ(の)、iwan-pe 六つ(の)
pira平良沖縄地名枚方、ヨモツ平坂、なども
pisピシ、ヒシ海中の州大隅風土記、琉球方言参照・隼人
pikata南風ひかた=南風借用?
pito神、人神鳥谷(栃木県)ヒトトノヤ
poruほら
rok座るロキ神ロキ、など
sar-ki葦(湿原・葦類)更生、などの地名
sinrit根・祖先シニリンチゥ沖縄方言で先祖神アマミンチュゥと対にもなる。参照:根の国
sitoシト・シトギsitoki=玉飾りの真ん中の金属;首飾りの下の方につく丸いもの(>鏡もち?)
tomari地名
toro地形名
unaウナ、ヨナ、など方言地名に多い。米などが当てられる。参照:ウナに就いて
yu温泉ゆ(湯)借用関係?


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