「たにぐくのさわたるきはみ」と佐渡の語源
ORIG: 2005/10/22
rev1: 2008/07/18 追記
rev2: 2009/11/28 佐渡北堺祝詞追記

「たにぐくの さわたる きはみ」という語句がある。
『時代別国語大辞典上代編』(JK)によると

「たにぐく」【谷蟆】(名)ひきがえる。大型の蛙で、山間の陰湿地に住む。『爾、多邇具久 白言・・』(記神代)「たにぐくの さ渡る きはみ・・・」(万800)・・・【考】「たにぐくのさ渡る極み」の形で、国内至る所くまなくの意を表す慣用句になっている。タニグクのククはその鳴き声の擬声語とする説もあるが、潜る意のククとする説がよく行われている。・・・」
さて、イザナギ・イザナミの国生みでは、淡路島、伊予(四国)、隠岐島、筑紫(九州)、 壱岐島、対馬島、佐渡島、大倭豊秋津島(本州)、が生成されている。

ここの「佐渡」に関して考えていることを述べる

「佐渡」は「さど」と読み慣わして疑念を持たないところであるが、これは「さわたる」ではないのか。つまり、「佐渡島」は、神代、または、古事記編纂時に、国境として認識されていたのではないか、つまり「さわたる極み」、国の極み、国の果て、であるからして「佐渡島」と呼んだ、という可能性を指摘したい。

傍証としては、

  • 「儺の祭の詞」(祝詞)に「四方之堺 東方陸奥 西方遠値嘉 南方土佐 北方佐渡」とあり、佐渡は北の境界として認識されている。(2009/11/28追記)
  • 倭名抄に「佐渡国 国府在 雑太郡 ・・・雑太(佐波太)」とあり、「サハタ」なる地名が確認される。(今の、佐和田町、であろう)
  • 佐渡一ノ宮「度津神社」の「度津」は「ワタツ」と読む。「わたり<さわたり」が変化してきたものであろうか
  • 「さわたり」という地名(現在地名)の分布、を見ると、(なかには、本当に「沢を渡る」というもの、「猿が渡った」というものもあろうが)まぁ、国の果て、とも言えそうな分布状態ではある。(時代によっての異なり、とか、地域ごとでの認識とか)

追記:2008/07/18
なお、日本書紀に「渡島」という地名が出てくる。今の北海道(島)のことと考えられる。「さ」が「小さい」とか「若い」という意味合いの接頭辞だと捉えると、「佐渡島」と「渡島」を対比させて「ちょっと渡った島」対「本格的に渡る島」と見ることもできそうだ。
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