然からば、この時に残る「驍」と「川」が対応するのか、ということが問題になるが、板橋論文ではこの点については触れられていないようである。
「驍」の音は「ギョウ、キョウ」に近いものである。この音が「川」を意味する事例には行き当たっていない。されば、訓読みが「メ」あたりで「川、水」を意味するのかもしれないとは思うが、これは想像の域を出ない。実は「馬」なら「川」の意味になっているようなのだ。難しい字を使ったが実は訓は「馬」と同じく「メ、ミ」あたりなのか。
なお、「7 黄驍縣はもと高句麗の骨乃斤縣」というデータもあるが、ここからも驍=川を取り出すことはできそうもない。
同時に、このデータから「伊伐 ibor=緑」を引き出しているようである。勿論「伊伐支」が「隣」を意味し、「伊伐」でとどまれば「緑」を意味することがないとは言えないが、釈然としないものが残る。
仮に「縁(椽、緑?)」が「伊火」に対応するとして、「武」と「兮」の対応は認められるのだろうか。