北米のシャチ伝承
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シャチについて
ORIG: 2005/09/12

― アラスカおよび北西の海岸からの物語-
" Natsilane "
........ トリンギット族の物語.........
日本側との類似点など
Killer Whale(シャチ)がこの世に現れる前に、Natsilane(ナチレーン)という人がいました。彼は非常に有能なアザラシの狩人で、また、熟練した彫刻師でした。 彼はKakeの出身でした。彼は、Duke島のチーフの娘を妻とした時、彼女の一族とともに暮らして行くことにしました。 彼は彼女の一族から快く受け入れられました。また、彼は、彼の能力を証明しようと頑張ったので、すぐに熟達したハンターおよび槍の彫刻師として名誉ある地位を得ました。 ユーカラIV『朱の輪』(p46)「いつもいつも、変わることなく、われら在る、小刀の鞘の彫刻や、太刀の鞘の彫刻、に熱中を、我して、くらして居た。」
妻の家への入り婿:日本の大昔もそうだった、と思う。また、山幸も同様。
ナチレーンの義理の兄弟の中で最も年若い弟は、ナチレーンを賞讃しましたが、他の義兄達は彼の意図を誤解し、ねたむようになりました。そして、彼に対して陰謀を計画し始めました。 彼らは、アザラシ狩り競争でNatsilaneと勝負をしよう、ということになりました。 悪者の兄(海幸)と善玉の弟(山幸)。
準備も終わり、競争の日が来ました。Natsilaneと彼の4人義兄弟とは、広い海峡でWest Devil Rock(西の悪魔岩)へ、それぞれカヌーを漕いで行きました。 風が猛烈に吹いており波が高かった。しかし、Natsilaneは絶対に勝つ、と自分に言い聞かせました。 カヌーが岩に近づいた時、彼はそれへ飛び下り、最も近いアザラシに槍を突っ込みました。不運にも、槍の穂先が折れ、アザラシは海へ逃げ込みました。 更に悪いことには、彼の義兄達が、義弟の猛烈な反対にも関わらず、カヌーを漕いで逃げ去って行きました。食物も武器もなく、ナチレーンは孤島に置き去りにされました。 裏切られたことに心が痛みました。そして、彼は外套を頭まで引き上げて、寝入りました。 悪者の兄、善玉の弟。
ナチレーンは翌朝彼の名前を呼ぶ声に目を覚ましました。 人の姿をしたアザラシが、波の下の家に来るように合図しているのを見ました。(ついて行くと海底の)大邸宅では、アザラシのチーフが、負傷した息子を助けることができるかどうかNatsilaneに尋ねました。 Natsilaneは、若いアザラシの身体にNatsilaneの槍の穂先が埋まっているのを見て、取ってやりました、そしてアザラシの息子の怪我は治りました。アザラシのチーフは非常に感謝し、Natsilaneにより大きな力(技術)を与えて、彼が村へ安全に帰ることが出来るように計らいました。 人の姿をしたアザラシ:塩椎神。波の下の家:海底に海神の宮。若いアザラシの身体に槍の穂先:鯛が釣り針を飲み込んでいた。大きな力(技術)を与えて:塩盈珠と塩乾珠、という力(道具)。帰郷。
(故郷に帰って)Natsilaneは彼の妻に会い、それまでの話を伝えました。彼女には、彼が還ったことは秘密にするように約束させました。 彼は彫刻刀を持って、彼を裏切った義兄への報復のために森に入りました。 アザラシのチーフの約束を思い出して、Natsilaneは支援をチーフに求めて、大きな黒魚(black fish)(以前にはなかったようなエゾマツ{製}のシャチ)を彫刻し始めました。 三匹試作してから、Natsilaneは、黄色の杉{製}のwhaleを作りました。完成して、それを海に放つと、命を得て、泳いで行きました。 「海神の教えた通りに」兄への報復準備
彼は黒魚(上の黄色の杉のクジラのこと、即ちシャチ)に、彼の義兄弟を見つけ、彼らの舟を破壊するように命じました、ただ、最年少の弟は助けるように命じました。黒魚は出発し、その午後遅く義兄弟を見つけました。 黒魚は、舟をまっ二つに壊し3人の義兄を溺れさせました。最年少の弟は、無事に帰郷して、大きな黒魚の話、および彼の兄達の裏切りの話を人々に伝えました。 兄への報復。「おぼれさせる」
村民はNatsilaneが大きな黒い魚を刻んで作りそれに生命を与えたことを不思議に思いました。そののち、歯を備えた奇妙な黒魚が海岸近くで見られ、死んだばかりのアザラシやハリバット(白身の魚)を村民のために時々置いて行きました。Natsilaneは大きな黒魚に、二度と人間を襲わないように諭し、そればかりか、人間を支援するように教えました。黒魚が村民を助け続けるとともに、村民は、そのシャチが Natsilaneからの贈り物をしているのだ、と思うようになりました。村民は、シャチを紋章とするようになりました。Natsilaneの話はこの村の伝説になりました。また、幾人かは、Natsilane が2匹の大きな黒魚の背中に乗って海を渡るのを見たと主張しました。 ワニ(シャチ)に乗って行き来した山幸
突拍子もない符合:ミマキイリ彦イソニヱ アイヌ語:mimak=歯、iso=鯨(など)、nuye=彫刻する

また「北方神話のシャチ」との符合もご参照ください。
アラスカ、トリンギット族の民話(英文)
トリンギット族について(Wikipedia)
因幡の白兎:ワニとはシャチ

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