電子チューナーとその意外な効用

orig: 200208/18


蛇角
(文の終わりに足す駄文を蛇足というなら、これは文の最初にある駄文だから蛇角なのだ)
昔ながらの音叉にも味がある(そういう問題じゃないか?)かも知れないが最近は電子チューナを使ってる人も多いと思う。

私のは古いもののせいかもしれないけど、平均律でのみ認知したり発音したりして呉れるようだ。だから、バイオリン調弦の時にはA=440Hzとかに設定して、Aだけを合わせている。他の弦は耳で聞いて五度を取っている。ばっちり合うと二音がスカッとするし、近傍では、ウニャウニャ唸りがある。(ここで440としたのは以降の計算を易しくするためで、実際には442を使ってる。)
A線をチューナーで440のAにぴったし合わせて、次いで耳でDを合わせて、次いで耳でGを合わせる。それぞれ、周波数で言えば2/3ずつ低くなっている。つまり、Dは440*2/3=293.3Hz、になってるハズだしGは440*2/3*2/3=440*4/9=195.6になってるはずだ。(実はボーイングが不安定だからこんな小数点まで出しても意味無いのだが)
さて、このGについてチューナー君の意見を聞いてみると、「低いよ!」と言っている。チューナー君はGは196だと平均律で設定されているからだ。そこで選択肢はチューナー君を満足させるようにG線を少し高くするか、どうか、だ。
それには色々議論があるらしいが、私は正しい五度を敢えて平均律に直す気がしない。という訳で、チューナー君はA線を合わせる為だけに使っている。

本文
ところで最近発見したチューナー君の意外な効用をお知らせ(もう、知ってる?)しよう。
それは、例えば、開放弦のGと、D線ファーストポジション1指のEの二音を鳴らす時に観察出来る。二音ならした時、チューナー君はどっちの音を聞き取って高いとか低いとか合ってるとか教えてくれるのか?
耳で聞いて、よし、これが正しい6度の和音だ、と思ったポイントで二音を鳴らしてみる。チューナー君はどっちの音に反応しているだろうか。あれあれ、チューナー君は弾いてもいないCを聞き取って居る!!!
一般に二つの周波数がぶつかるときに、その二周波数の和と差が発生することが知られている。(ラヂオ技術のヘテロダインが利用している原理だ)
このGとEの場合、Cを基準に考えるとGが3倍音で、Eが5倍音だ。その差の2倍音が発生していて、チューナー君はそれを検出したのだ。(二周波数の和、8倍音(これもC)も出ているのだろうが、多分、差の方を検出しているのだろう。)
同様に開放弦のDと、A線上でHを正しく弾くと、チューナー君はGを検出する。同様に・・・
という訳で、長6度の和音が正しく取れているか、をチェック出来る、というのが意外な効用でした。(私の古いチューナーに入っているフィルタのリニアリティが悪いので、こういう意外な効用が出るので、諸君がお持ちの高級?チューナーではこうはならないかも知れないが、まぁ、お試しあれ。レポート@談話室歓迎!)


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